東京ヴァルハラ異聞録

「まさか……これを防がれるとはな。だが、俺の優位は変わっていない!」


トドメ用の一本が、大友の手から放たれた。


こういう時、狙われる場所はわかっている。


大友は、黒井のような戦闘狂ではない。


ならば、狙うは一撃で仕留められる心臓か頭部。


どちらを狙うかなんて、放たれた瞬間にわかる!


身体を捻り、日本刀の柄尻で矢を弾いた俺は、すかさず大友に駆け出した。


矢を取り出して射るまでに、遠距離武器特有の僅かな隙が生じるから。


どれだけ淀みのない的確な動きでも、近接戦闘では大きな隙となる!


高速で駆け寄った俺は、大友が矢を弦にかけると同時に、腹部に飛び蹴りを放った。


「うぐっ!?」


日本刀だけを警戒していただろうけど、高山真治にどれだけ殺されたと思ってるんだ!


これくらい出来なきゃ……あの地獄は抜けられなかったんだよ!!


くの字に曲がった大友の身体。


さらにそこに、腹部を蹴った右脚を曲げて、回し蹴りを放った。


致命傷ではない……でも、大友の身体は弾かれ、ビルの屋上から飛び出したのだ。


「よし、溜まった!!」


落下しながら、大友が弓を引く。


それに向かって俺は……日本刀を振るい、遠心力で鞘から刃を引き抜いた。