東京ヴァルハラ異聞録

「それは真に強い男が言うセリフだっ!まぐれが何度も通用すると思うなよ!!」


言うより速いか、大友の手から矢が放たれる!


遠方で受け止めたそれとは、速度も威力も段違い!


だが、俺の左腕は鞘を押し上げ、矢の下方を小突くと、その攻撃を弾いたのだ。


「……な、何?」


「師匠の攻撃より遅い。この程度の速度の攻撃なんて、日本刀を抜かなくても止められる」


幾千の死を乗り越えて、身に付いた力。


考えなくても身体が動く。


ほんの一瞬、動くのが遅れただけで死んでしまうこの街の戦いで、これは最低限身に付けなければならない力だった。


いや、高山真治に殺されない為に身に付けなければならなかった能力。


「見くびっていたようだ。だが、それでもまだ高山真治の方が強い!俺に認めさせてみろ!俺は結城昴だと!!」


自分よりも弱かったやつが、強くなって目の前に現れる。


この街ではよくある事だろうけど、その都度この大友はそれを乗り越えて来たのだろう。


僅かにあった、俺への油断が消えて……殺意さえ感じる!


素早く引き抜いた矢。


弓を横に構え、四本の矢を同時に引く。


「これは回避出来まい!!俺にこれを使わせた事は褒めてやる!!」