東京ヴァルハラ異聞録

音を置き去りにする超速度で迫るそれは……矢!


そう状況を整理するよりも速く、俺の手が動いた。


回避する事でさえ困難な高速の矢。


それを俺は……腕をひと振りして掴んだのだ。


一本ではない。


矢の影に隠して放たれた二本目の矢も。


「いって!やっぱ素手で受け止めるとか、調子に乗ったか!?」


「え!?昴くん!攻撃されたの!」


遅れて屋上にやって来た沙羅が、その矢を見て声を上げた。


いや、その驚きは、攻撃された事よりも、俺が矢を受け止めた事に対してか。


「大友がこの先にいる。沙羅、行くぞ!」


「え!?あ、う、うん……」


矢が飛んで来た方向に、顔を向けて。


その場所へと走り出した。


ビルを上っていた時にも感じた事だったけど、身体が綿毛のように軽い。


一歩蹴り出せば、今までの数倍の距離を、数倍の速度で走れる。


「昴くん……速い!!」


あの沙羅が、俺の速度に付いて来られないほどの速度だ。


移動中、何度も矢が飛んで来たけど、回避する必要すらなく、日本刀で弾く。


そして……黒井と戦った場所に大友はいた。


PBTを手に、焦ったような様子で。