東京ヴァルハラ異聞録

「昴くん……バカ。誰のせいで悲しい想いをしたと思ってるのよ」


「はは……ごめん。あれからずっといてくれたのか?ありがとうな」


涙を拭う沙羅を見ながら、ゆっくりと身体を起こすが……死にそうなほどの空腹に、力が入らなかった。


「沙羅だけじゃないよ。美姫ちゃんも一緒に、ずっと昴くんを守ってくれてたんだからね」


そう言われ、辺りを見回したけど……美姫の姿は見えない。


「……あれからどれくらい経ったんだ?秋本と黒井が戦ってから」


闇の世界で、高山真治と戦い続けて、永遠とも思えるくらいの時間が流れた。


それは、時間の感覚を狂わせるには十分なものだった。


「あれから……五日。昴くんが廃人みたいになってからね」


「五日か。俺、そんなヤバい感じだったわけ?」


「うん。そのまま、もう戻って来ない人もいるくらいだから……でも、戻って来てくれて良かった」


涙を拭いながら、ニコッと笑ってくれた沙羅。


「うし。腹が減った。メシを食ったら……黒井とやるか」


その言葉は、沙羅にとっては信じられないものだっただろう。


戦い、恐怖し、廃人寸前まで追い込まれた相手と、再び戦おうとするなんて。