東京ヴァルハラ異聞録

鞘から日本刀が引き抜かれる。


振り下ろされた日本刀と、どちらが速いか。


僅かに俺の日本刀の方が速く、高山真治の胴に刃が滑り込む。


だが、振り下ろされた日本刀の鍔で俺の攻撃を受け止め、その反動を利用して高山真治は飛び上がったのだ。


体勢を整えるのが速い!


仰け反っていたのに、気付けば重心を前に持って来ているなんて!


飛び上がった高山真治は、空中でクルリと回転し、俺の背中に斬撃を放つ。


これくらいはやって来ると、俺も予想していた!


左手の鞘を背中に回し、下から斬撃を迎え撃つように振り上げた。


「くっ!」


初めて、高山真治のそんな声を聞いたかもしれない。


地面スレスレの位置で身体を捻り、上を向くと同時に日本刀を振り上げる。


日本刀を弾かれ、上方を向きながら日本刀を振るう俺を見て、高山真治がニヤリと笑った。


この体勢なら、回避は出来ないぞ!


「何を笑ってる!」


もらったと、日本刀を振り上げた俺の左腕を蹴り、嘲笑うかのようにさらに上へと飛び上がった。


空振りする日本刀。


バランスを崩したのは俺の方だった。


床にしたたかに背中を打ち、上方にいる高山真治を見上げてしまっていたから。