東京ヴァルハラ異聞録

居合斬りは溜めが必要だ。


その間に攻撃されれば、回避するしかない。


「……なんて、思っているんじゃないだろうね?」


と、俺が考えている事を見透かしたかのような発言に、少し驚いたけど……不思議な事じゃないな。


ここは俺の心の闇。


そこにいるんだから、俺の考えくらいわかってても……。


と、そこまで考えて、俺はとんでもない事に気付いてしまった。


それはつまり、俺がどう動くかもわかるって事じゃないのか?


「ご明察。俺はキミの動きがわかる。でもキミは俺の動きがわからない。だったらどうするか……思考ではなく、感覚で戦うしかないだろ。自分の考えの先を行け。考えなくても戦えるようになるまで武器を振るえ」


考えてみれば無茶な話だ。


でも、高山真治が言っている事はわからなくもない。


俺も、時々考えるよりも速く武器を振るう事があるから。


秋本や黒井、恵梨香さんだって同じ事をしていると考えれば、俺よりも強いという意味がわかる。


もちろん、本当に強いのだけど、俺が得るべき物というか、得なければ超えられない壁を、皆は既に超えているのだ。


だからこれは……俺が超えるべき壁なんだ。