東京ヴァルハラ異聞録

沙羅と美姫に助けられ、少し時間が経った。


心を守るように、ゆっくりと瞼を閉じた俺は、こんな状況だというのに素早く眠りに落ちた。








暗い、暗い闇の中。


どこまででも落ちるような感覚に包まれて。


あれだけ大口を叩いておいて、黒井に対して完全に敗北を認めたのか。


強くなろうとしたけど、東軍という大きな壁に阻まれて、どうしても勝てない敵が現れてさ。





「……どうした?もう諦めるのか?」





あの声が聞こえる。


高山真治の声が。


「俺は……あんたにはなれない。俺は結城昴なんだ」


夢の中だからか、声は出ている気がする。


「そう、キミは結城昴だ。俺じゃない。それは当たり前の事じゃないか」


「だけど!恵梨香さんも黒井も、俺じゃなくあんたの影を見てる!求められているのは俺じゃない。高山真治、あんたなんだよ」


俺がそう言うと、目の前に一人の男が現れた。


年齢は、俺と同じくらいだろうか。


学ラン姿で、優しそうな顔をしているが、それが高山真治だと言うことは感覚でわかった。


こうして、ハッキリと顔がわかる姿で現れるのは初めてだな。


今までは、像がボヤけていたけれど、高山真治はこんな顔をしていたんだなと、妙に安心した。