東京ヴァルハラ異聞録

しばらくして、右腕以外の腕と脚は千切れ、腹部まで貫かれて、俺は完全に敗北した。


本当に……何も出来なかった。


まだ生きているのが不思議なくらいのダメージを受けて、立ち上がれもしない。


俺は結城昴だと声高に叫んでも、想いだけではどうにもならなかった。


自分の弱さ……いや、黒井の強さを見せ付けられて。


俺はただぼんやりと黒井を見上げる事しか出来なかった。


「はぁ……はぁ……脆いな。俺の本気に付いて来られるやつは……お前じゃねえ」


ランスを俺の喉元に突き付けて、俺を否定する言葉を放った。


高山真治……俺は、こいつを超えられないのか。


そう、心が負けそうになった時だった。


沙羅が、ナイフを手に黒井に飛び掛かったのだ。


「よくも……よくも昴くんを!絶対に許さない!」


振るったナイフを、後退して回避した黒井。


「ソードブレイカー……それは、俺の武器だ!ろくに扱えもしねぇのに、お前ごときが使ってんじゃねぇよ!!」


そう言って沙羅の手首を掴むと、一本背負いのように沙羅を投げ、床に叩き付けるとランスを突き付けた。


沙羅は強い……なのに、黒井の強さはそれを遥かに上回る。


ランキングが強さの証明にはならないという事だ。