東京ヴァルハラ異聞録

ランスに貫かれるギリギリのタイミング。


伸ばした左手がランスを掴んで。


ブチブチと手の中で皮膚が千切れるのを感じながらも、ランスの上に逆立ちをするようにして立った。


「ぐうぅぅぅっ!!」


「左手を捨てたかよ!!」


その状態で日本刀を振るうが、黒井は上体を反らして回避する。


が、見えない刃が黒井の鼻先をかすめて、僅かながら出血したのだ。


これだけやって……ただのかすり傷ひとつ。


少し攻撃が早ければ勝てたかもしれないけれど、運が良くてこのダメージならば話にならない。


「お前……俺に血を流させたな!?」


上体を起こした黒井の顔が、怒りか狂気か、歪んで俺を睨みつけた。


着地し、攻撃に備えていると……。


突然左脚に鋭い痛みと鈍い痛みが走った。


いつの間にかランスが刺されていて……完全に太ももから下が分断されてしまったのだ。


「ああああああああぁぁぁっ!!」


悲鳴を上げるより早く、左腕も突き刺されて千切られる。


「テメェは!!俺に!!血を!!流させたんだろ!!償え!!償え!!」


ほとんど八つ当たりみたいな状況で、俺の身体にランスを突き付ける。


その攻撃は……俺の目では捉えられなくて。


されるがままに攻撃を受けるだけだった。