東京ヴァルハラ異聞録

一人で戦うのは、本当に俺のわがままだろう。


俺の力では、この黒井という男には絶対に勝てないというのはわかっているけど……死んだとしても、結城昴として認めさせたい。


「……行きます」


「勝手にしやがれ!」


このランスという武器は、想像以上に厄介だ。


先端から裾が広がっている形状は、回避するにも移動距離が大きくなってしまう。


さらに、その裾の広さが手首までガードしているから、攻防一体の武器と言えるだろう。


そう思わせるのは、黒井の突進力と判断力によるものだろうな。


ゲームなんかでは、盾を構えてランスでの突撃とかあるけれど……黒井がイージスの盾を持ったらとか思うと、勝ちようがない。


日本刀を構えて……ランスを警戒しつつ、黒井に一歩踏み込んだ。


と、同時に、顔に目掛けてランスを突き付けられる!


「うわっ!」


慌てて首を曲げて回避しようとするが、徐々に広くなるランスが耳にかすり、そのまま肉を削ぎ落とす。


血と肉が後方に飛び散る。


歯を食いしばって痛みに耐えて、踏み込むと同時に日本刀を黒井の胴に滑らせた。


が、俺の攻撃が当たるまでに黒井は身体を捻り、ランスを横に薙いで俺の脇腹に打ち付けたのだ。