東京ヴァルハラ異聞録

離れてろって言ったのに……これは美姫か。


見えない足場が、俺の足元にある。


「サンキュー、美姫」


そう呟いて、俺は背中を見せた黒井に飛び掛かった。


その気配を察知したのか、すぐに振り返った黒井。


「はっ!!瞬間回復かよ!!つまり、俺の攻撃を避け切れねえって判断したわけだろ!!テメェの負けだよ!」


ランスが回転しながら、後方にいる俺に突き付けられる!


この攻撃は間違いなく威力が大きい!


だけど、直線攻撃ではなく、回転している分速度はさっきよりも遅い!!


空中で進行方向を変える手段はない。


いくら速度が遅いとは言え、このままでは押し負ける!


そう判断した俺は、鞘に日本刀を納めて。


その状態で屋上の床を突き、黒井の頭上を飛び越えるように跳ね上がったのだ。


「なにっ!?」


ランスが、俺がいた場所を通り過ぎる。


空中で回転しながら、遠心力で鞘から日本刀を引き抜き、黒井の背中が見えたと同時に、俺はそこに刃を滑らせた。


「もらったぞ!」


そう……声を上げたけど。


ランスを振り上げ、俺を見もせずに日本刀を防いだのだ。


「いいねぇ!熱くなって来たじゃねえかよ!」