東京ヴァルハラ異聞録

さっきの居合斬りで傷付けた右肩は、もう殆ど回復している。


自軍で戦えば、それだけで有利になる。


一撃で仕留めなければ、いずれ回復されてしまうから。


動けば矢を射たれる。


そして大友も、俺の攻撃を警戒して、ギリギリまで動こうとはしない。


これは、圧倒的に俺達に有利な駆け引き。


誰かが動けば、大友はその人を射るだろう。


美姫では、この矢の速度に対応しきれない。


沙羅なら、矢を弾いて接近する事も可能だろうけど……そうなると俺の居合斬りが沙羅を巻き込む。


それをわかっているのか、二人も動けずにいた。


「どうした?悪魔が来るぞ?ほら……テクテクってな」


「悪魔ごと、俺が断ち切ってやるよ」


溜めが完了した。


柄に手を添え、グッと足に力を込めた。


隙のない大友に、どうやって一撃を入れるか。


それは、雨村雪子がやっていたあれが出来れば……。


イメージはある。


殺気を進行方向に放つイメージだ。


「勝負だ!!大友葵!」


この一撃に賭ける!


超高速で飛び出した俺は、殺気を大友に放ち、少し速度を落とした。


「むっ!?デコイか!やつは……どこだ!?」


目が良い大友は、分身だとすぐに気付いて本体を探す。


そして、本体の場所を割り出すまでの時間は驚くほど早い。