東京ヴァルハラ異聞録

だけど……。


「くっ!こんな技を持っていたとは……」


大友の胸部を切断したと思ったのに。


殺気の分身……俺にも出来る技は、このレベルの人なら誰にだって出来るってわけか。


右肩に微かにダメージを与えただけで、大したダメージではないのは目に見えてわかった。


「よ、避けられた……そんな……」


「お前は勘違いをしている。俺は確かに遠距離攻撃が得意だが、今のお前相手に近接戦闘で負けるほど俺は弱くはないぞ」


この男は強い。


遠距離攻撃で、敵と接触する事がないやつらとは全然違う。


接近戦が得意なやつが、自分の命を奪おうと迫っても、それに対処出来る力を持った厄介な射手……というわけか。


「どうした?戦意を失くしたか?では死ね」


再び矢を取り出し、弦を引いて俺に向ける。


「いや、一つだけ聞きたい事があるんだけど」


これは、ただの俺の好奇心というか……気になった事なんだけど。


「なんだ?ここまで辿り着いた褒美に答えてやろう」


そこで、大友は初めてニヤリと笑って見せた。


「あー、いや。接近戦が得意な人が接近しても対処出来るのはわかったんだけど……それが二人の場合どうなるのかなと思って」