東京ヴァルハラ異聞録

この距離で回避するには、殺気の分身を連発するしかない!


分身が射抜かれ、大友は矢を射ると同時に後退。


「分身など、乱発するものじゃないぞ。それしか手はないのかもしれないがな!」


そんなのはわかっている。


だけど、まだ溜めが完全じゃない。


分身とフェイントを織り交ぜながら、徐々に近付いて行く。


大友が遠距離が得意だと言うなら、俺は近距離が得意。


近距離での速度なら俺に分がある!!


「……なんて考えてるんじゃないだろうな?それは大きな間違いだ」


俺が考えている事が読まれた!?


でも構うもんか!


違うと言われても、俺にはこれしかないんだから!


溜めが完了した。


大友の攻撃に合わせて、後の先を取る!


空間から矢が取り出された。


流れるような、滑らかな動きで矢を弦に掛けて引かれる。


そして、矢が放たれた。


ここしかない!


矢を射る時、僅かだが大友の足が止まる。


その瞬間を狙い、一気に鞘に納められた日本刀を引き抜く。


光の筋が、鞘から斜めに放たれた。


俺に向かって迫る矢は真っ二つになり、大友の胸部を切断したのだ。


俺唯一の攻撃技。


これが通用しなければ、俺に勝ち目はない!