東京ヴァルハラ異聞録

「バベルの塔には望む物全てがある……なんて言うやつもいるけど、本当の事はどうかわからないね。だってさ、誰も行った事がないんだから」


その声の主に、俺と美佳さんは顔を向けた。


そこにいたのは悟さん。


眠そうにあくびをして、軽く手を挙げて「よっ」と笑顔を見せてくれた。


「悟さん!まさか待っててくれたんですか!?総力戦が終わったら来いって言われてたのに……こんな時間になってすみません」


「まさか?俺も疲れて寝ちゃっててさ、思い出して来てみたんだよ。いやあ、良かった。来いって言っておいて俺がいないとかないもんな」


ハハッと笑い、頭を掻いて見せる。


なんか、この人は安心するな。


人当たりもいいし、喋り方も仕草も、気を許せると思える。


「えっと、そっちの人は……ん?嘘だろ……いや、人違いだよな」


笑っていた悟さんが、突然梨奈さんを見て驚いた表情に変わった。


「この人は梨奈さんです。悟さんと別れた後、一緒に戦ってくれたんです」


そう言うと、悟さんは安心したように溜め息をついて。


「だよな!いやあ、びっくりした!あまりにも知ってる人に似てたから、驚いちゃったよ!」