東京ヴァルハラ異聞録

それにしても、俺が目視出来ない距離から正確に狙えるなんて、どれだけ凄いやつなんだよ。


そこらにいるやつなんて、近い距離でも狙った所に矢を射る事が出来てないってのに。


つまり、それが遠距離攻撃最強クラスのスキル……というわけか。


超超精密射撃。


なんなら、俺が障害物から顔を出した瞬間、そこを狙われる可能性だってあるわけだ。


「ははっ……強くなるってなかなか厳しい道だな。だけど……」


この日本刀の持ち主、高山真治もこんな修羅場をいくつも潜り抜けて来たんだろうな。


そう考えると、俺も負けていられない。


俺は俺で、高山真治の代わりじゃない。


もっと強くならなければならないんだ。


「近付けなければ話にならないな。狙いが正確なら……あれをやるしかないな」


現段階で、俺が使える技。


殺気の分身。


これほどの使い手なら、引っ掛かってくれるだろう。


「よし、行くか」


そう自分に言い聞かせ、まだ姿が見えない強敵に向かう為、障害物から飛び出した。


瞬間、殺気を放つ。


俺はここにいるぞと存在感をアピールするように。


そしてそれを置き去りにするように、殺気を消して走り出した。