東京ヴァルハラ異聞録

何が異常だって……今まで会ったどんな人達だって、矢の軌道は少なからず放物線を描く。


それ故に、軌道の下を潜れば難なく矢を回避する事が出来たのだが。


この矢を射った人物は、僅かなズレもなく一直線に俺の顔目掛けて飛んで来たのだから。


これは……矢の距離感を測る事が難しいというのは元より、音を置き去りにするほどの速度で放たれているという事実に恐怖を覚える。


そりゃあ、音速を超える攻撃をする人達は腐るほどいるだろうけど、近接武器ならば人の動きから攻撃のタイミングを推測する事が可能。


だけど、この矢はそれが出来ない。


目視できないほど遠くから、一直線に矢を射る程の使い手と言う事だ。


断定はしたくないけど、恐らく遠距離攻撃の最強クラスの人物が、この矢を放っている。


「沙羅!!矢に気を付けろ!!とんでもなく強いやつがいる!!」


俺なんかが言わなくても沙羅はわかっているだろうけど、注意するとしないとでは生存率に大きな違いが出るだろうから。


「こっちも攻撃されてる!昴くんも気を付けて!!」


気を付けて……か。


弱いやつを倒して、ソウルを手に入れて武器を強化するのも良いけど。


これほど強いやつを倒せば、俺はもっと強くなる。


高山真治の力を借りなくとも、俺は強くなれるんだ。