東京ヴァルハラ異聞録

PBTが破壊された……。


それは、篠田さんを思い出してしまう言葉。


あの時の光景が、俺の脳裏に蘇る。


だけど、俺以上に動揺しているのは秋本のようで。


目を見開いたまま、ショックを受けたのを隠そうともせずにただ立ち尽くすだけ。


「マジかよ……そりゃあ戦いに出られないはずだ。万が一死んだら……いや、怪我をしただけでも傷が治らないからな」


吉良が、そう拓真に話し掛けると、拓真も理解したようで。


「ま、そういうわけよ。どこかの誰かさんは私に対抗してるのか力を見せつけたいのかわからないけど、無茶な事ばかりするしさ。昔私と交わした約束を守るつもりもないみたいだし。まだ死ぬなんて出来ないわけ。わかった?」


神凪が戦いの場に姿を現さない理由はわかった。


十分過ぎるほどの理由だよな。


PBTが破壊された……というのは。


「だそうだ。それでどうするかは秋本、お前次第だが……私達がいては、その答えを出す事も出来ないかもしれないな。私達は部屋の外にいる。二人でじっくり話すと良い」


そう言って、恵梨香さんは俺達を押し出すようにして部屋を出た。


秋本のあの様子だと……神凪に手を出すという事はなさそうだけど。


これからどうなるのかは気になるところだ。