東京ヴァルハラ異聞録

凄く簡略化して……ではあるが、以前、恵梨香さんがどんな経験をしたのかを話してくれた。


俺が両国で出会った黒井と名鳥。


彼らもまた、昔は敵同士だった人物。


そして……俺の日本刀の前の持ち主、高山真治。


初めて恵梨香さんとあった時、喜んでいるように震えたのは……そういう事だったのか。


「……冗談みたいな話だな。いきなりそんな事を言われても信じられない」


将太がそういう気持ちもわかるけど、俺はなんとなく理解出来る事が起こっているから。


「信じられないなら、この街そのものが信じられる物でもないだろう。想像していない事など常に起こるものだ」


その言葉は、ここにいる誰もが身に染みて分かっている事だろう。


誰もナイトやルークが現れるなんて思っていなかっただろうし、篠田さんが死ぬなんて思ってもみなかったはずだ。





「……いいぜ、だったら俺が行ってやる」





そう、声を上げたのは……秋本だった。


この中で一番この答えを期待していなかっただけに、俺達の衝撃は大きい。


「ちょ、ちょっと秋本さん!?何言ってるんですか!秋本さんがいなくなったら、北軍はどうなるんですか!!」


慌てて吉良が発言したが、秋本は面倒臭そうに頭をボリボリと掻いた。