東京ヴァルハラ異聞録

「そうだぜ。バベルの塔には入り口がない。もしもあったとしても、ポーンやナイトが守ってるだろ?そんな所に行けるなんてとても思えない」


吉良が、呆れたように首を横に振って答えた。


こういう反応があるというのは予想していたのだろう。


恵梨香さんはフッと笑って、バベルの塔を見上げた。


「信じられなければ永遠に戦い続けるが良い。だが、行動を起こさなければ何も変わらない。未知への挑戦こそが、未来を切り開く可能性に繋がるのだ。それに……私は以前、一度バベルの塔に登ったからな。この街の……ではないが」


そう、恵梨香さんは俺達とは違い、色々と知っている。


それこそが、バベルの塔の頂上に行けば願いが叶うという証拠なんだと思えたから。


「バベルの塔に……登っただと?死神……お前一体何者だよ」


項垂れていた秋本が、恵梨香さんの言葉に反応して顔を上げた。


「ふん。私は私で、それ以上でも以下でもない。だが、信じられないと言うなら少し昔話をしてやろう。私と……一人の少年、そして多くの仲間達の話だ」


そう言い、ポツリポツリと恵梨香さんが話し始めた。


こことは違う……だけど、同じように殺し合いが行われていた魂の街。