東京ヴァルハラ異聞録

吾妻橋までやって来たが、まだルークの巨体は確認出来ない。


道が曲がっていて、ビルの影に隠れている。


「この先みたいだな。よし、急ぐぞ」


悟さんがそう言い、橋を駆け抜ける。


「本当に戦うのか……よりによって北軍でさ。それだったらまだ西軍で戦った方が良かったよ。死神も乗り気じゃないみたいだし」


愛美は相変わらず文句を言って。


だけど、その言葉通り恵梨香さんの表情は明るくはない。


「やっぱり、恵梨香さんも反対ですか?」


「反対というわけではないが。愛美の言うように、わざわざ戦うなら西軍で戦っても良かったと思っただけだ。まあ、黒崎の居場所を探すという点では、結果的に良かったかもしれんな」


まあ……そうだよな。


特に恵梨香さんにしてみれば、西軍も北軍も自軍ではないからどこで戦っても同じと思うのかもしれないけど。


少し走り、ルークの巨体が徐々に見えて来た。


北軍の街中……それも、ほぼド真ん中に位置する場所にいるだけあって、これを撃退しようと集まっている人達も多い。


何としてでもここで食い止める。


戦いに加わった人達のそんな想いがここまで届くようだ。