東京ヴァルハラ異聞録



「なんで逃げなきゃならないんだよ!化け物なんて俺がぶっ殺してやるっての!」


「もう!天馬!バカな事言ってないでママの言う事を聞いて!!」



そんな声が聞こえ、少し先の道から飛び出して来たのは……天馬と舞桜だった。


「俺がぶっ殺せば、皆逃げる必要はないんだろ!だったらやってやるっての!」


やっぱり……天馬と舞桜だ。


そして、その後から三人の子供と一人の女性がさらに姿を現した。


「天馬くん。あれは大人に任せて。私達は安全な場所に逃げるのよ」


「安全な場所ってどこだよ!ママだってわからないくせにさ!」


ママ……と呼ばれるには随分若くて、美姫や沙羅と変わらないくらいの歳なんじゃないか。


「なんだなんだ?あんなに子供がいる。避難……しているんだろうな」


この街で子供の集団を見るのは珍しいのか、悟さんが首を傾げて。


ルークがこちらに向かっているなら、いつ襲われるかわからない。


だから避難しているのだろうけど。


「言う事を聞きなさい!ママに迷惑かけないで!ほら、早く逃げ……」


と、天馬の腕を掴んで舞桜が顔を上げて。


俺の姿を捉えたのか、ピタリと動きを止めたのだ。