東京ヴァルハラ異聞録

北上して、スカイツリーが近くに見えるようになって来た。


本来なら「大きいな」とでも思うところだろうけど、それよりもバベルの塔の方が大きいんだよな。


「この辺りは民家が多いよな。こりゃあ……どうやって探すよ?」


悟さんが民家を見回して、困ったような様子で頭を掻く。


同じ北軍でも、上野周辺とはかなり違うな。


それに、神凪派と秋本派の争いがあるわりに静かで穏やかな印象すら覚える。


西軍の橋本さんと月影も表立っては争っていないけど、そんな感じなのかな。


「あんまりキョロキョロしてると怪しまれるよ。こんな人数でさ。ねえ、あんた。超能力で黒崎沙羅がどこにいるかわからないの?」


気だるそうに愛美が美姫に尋ねるけれど、美姫は首を横に振る。


「その沙羅ちゃんに会った事がないからわからないの。一度でも会えば見えるんだけど」


「会えばわかるのか……どれだけ凄いんだよ、お前」


美姫の力は凄いけど、でもそれは空腹になれば使えない。


さらに言えば、力を使う度に腹が減って行くというデメリットが大きい。


連続戦闘が出来ないというのは、この街では致命的な欠点とも思えるから。


そういう点では、特別強力と言うわけでもないんだよな。