東京ヴァルハラ異聞録

恵梨香さんが美姫を見て、そう呟くが……ビルの近くを飛んだ時、その屋上にいたポーンが、俺達に飛び掛って来たのだ。


軽トラの荷台に乗り移ろうとしているのか、タイミングはピタリと合っている。


日本刀を取り出して迎撃しようとした俺の手を、愛美が掴んで止めた。


「こういうのはあんたより私の武器の方がいい!任せな!」


言うより早く、愛美がポーンに向かって鞭を振った。


ポーンの腕に巻き付いたが、落下は止まらない。


素早く鞭を引き、隅田川の方に向かって腕を振ると、ポーンが鞭に引っ張られて川の方に飛んで行く。


武器を進化させた日に、秋葉原でゼロ・クルセイダーズを放り投げたのと同じ。


相手が弱いから簡単に出来たかと思ったけど……どうやらそうではなさそうだな。


「ちょ、ちょっと!動かないで!バランスが!」


今の攻撃で、美姫的に何か不都合があったのだろうか。


グラリと軽トラが揺れ、あと少しで北軍だと言うのに、落下を始めたのだ。


「ダ、ダメかも……飛び降りる準備だけして!!」


「やれやれ、上手くは行かないものだな」


それでも何とか北軍には入っている。


池を越えた先で墜落しそうで、俺は飛び降りる準備をした。