東京ヴァルハラ異聞録

「く、くそっ!ふざけるんじゃ……」


地面に倒れて、慌てて武器を……ボウガンを取り出した女性。


「なんで……逃げれば良かったのに。何もしなければ、こうはならなかったのに!!」


梨奈さんにボウガンを向けて、引き金に指をかける。


負傷しているのは見ればわかる。


だけど、同情した敵の思いを踏みにじって、隙あらば殺そうとしたってのか!?





「バカ……野郎!!」





その言葉は、この女性に言ったのか、俺自身に言ったのか……自分でもわからなかった。


地面に倒れている女性に、日本刀を振るって。


その腕と頭部を斬り裂いて、男性も女性も、光の粒へと変化したのだ。


「……まあいいわ。言いたい事はあるけど、昴くんも美佳も良くやったわね」


「……はい」


何が良くやったんですか。


と言いたかったけど、言えなかった。


俺がやろうとした事で、梨奈さんが殺されそうになったのは事実。


俺だって、美佳さんがいなければ、今頃ナイフの餌食になっていただろう。


沙羅なら……今みたいな事があっても簡単に対処出来たんだろうなと思うと、自分の弱さが嫌になる。


「沙羅……」


暗い空を見上げて、俺はそう呟いた。