東京ヴァルハラ異聞録

「死神、悟達を連れて行くのか?」


恵梨香さんの言葉に、橋本さんはそれだけ聞いた。


ビルに叩き付けられた悟さんが、頭を掻きながら俺達と合流して、二人の話に耳を傾ける。


「ああ、不服か?」


「いや……こいつらは月影に目を付けられたようだからな。西軍に留まれば、戦いに巻き込まれるだろう。それなら、お前と一緒に行って、より強くなる方がいいかもしれない。だから……こいつらを頼んだぞ」


「……良いだろう。私と一緒に行くからには、強くなってもらわねばならないからな。そこは任せておけ」


橋本さんはその言葉を聞くと、少し安心したように笑って見せて、俺達に背中を向けて手を挙げた。


それ以外は何もせず、何も言わず。


こういうのを見ると、西軍だとか東軍だとか、本当は関係ないんだろうなって思うよ。


敵同士でも、協力し合える人達はいるし、味方でも敵対して戦う人達はいる。


強くなる為に戦っていたのが、いつしか憎しみ合い、敵を殺す事が存在意義になってしまった人達もいるのだろう。


そんな人がこの街には溢れ返っている。


本当は、殺し合いなんてしたくなくても。


「さて……我々はこれから北軍に向かうぞ。昴少年達はどこに行くとか目的はあるのか?」


フルフェイスのシールドを上げ、俺達を見回した恵梨香さんに、俺は悟さんと愛美の顔を見て口を開いた。