東京ヴァルハラ異聞録

「バベルの塔……なんて、本当に行こうとしているのか?入り口も見当たらない、外壁を登るにもほぼ垂直の、武器も突き刺さらない壁をどうやって登る。そんな夢物語の為に、西軍の人間を連れて行くのはやめてくれ」


それは、西軍の為を思っての発言なのだろう。


敵軍だけではなく、西軍の事を考えている橋本さんだからこそ、その言葉が出たのだというのがわかる。


「では聞くが、このままいつ終わるかもわからない戦いの中に身を置き続けて、起こるはずもない奇跡を待つというのか?弱い者には到底望めない、戦いを終わらせる力を持っているというのに、お前は目の前の希望にすがろうとは思わないのか?」


恵梨香さんも負けじと、橋本さんを指差して。


それに対し、橋本さんは「うーん」と唸り、どう反論すれば良いかを考えているようだ。


戦いを終わらせる……その言葉はとても魅力的で、可能ならば飛び付きたいものである事は違いないだろうけど。


橋本さんの立場だと、今の西軍の状況でそれに乗る事は出来ないだろうし、仲間を放ってバベルの塔に向かう事は出来ないだろう。


「今は無理でも、いずれお前の力が必要な時が来るだろう。その時に備えて強くなっておくのだな。私はしばらくは仲間を探して各軍を回るつもりだからな」