東京ヴァルハラ異聞録

「あ、あの……見逃してあげませんか?」


俺が言った言葉に、驚きと怒りを露わにする梨奈さん。


「な、何言ってるのよ!!あなたわかってるの!?こいつらは敵なのよ!?殺すか、捕虜にして拷問するか、二択しかないの!!その甘い考えを捨てなさいって言ってるのよ!」


こんな反応が来るってわかっていた。


だけど、この女性が本当に辛そうで、何もここで殺さなくてもいいんじゃないかと思ったんだ。


「あ、ありがとう。助かった……この恩は忘れないから!」


西軍からしてみれば、俺の行動は褒められたもんじゃないだろう。


でも、この助けた人達からすれば……。


そう思って、二人を見た時だった。


俺の目の前に、男が突き付けたナイフが迫っていたのだ。


何が違ったんだろう。


沙羅ならこんな時はこうすると思ったのに。


グッと日本刀を握り締め、そのナイフを払おうとした時だった。


「おぶっ!!」


男の口から何かが飛び出して、力なく女性と共に地面に倒れたのだ。


その背後には……美佳さん。


弓を構えて、自分でも驚いた表情を浮かべて立っていた。


矢が、男を貫いたのだ。