東京ヴァルハラ異聞録

「やっぱり男の子だね。仕方ないなあ。お姉さんが色々と教えて……」


と、俺の右手を掴んで美姫が呟いた時だった。







バキッ!!





と、いう音が廊下から聞こえて、俺はベッドから飛び起きた。


「なんだ……今の音は」


誰かが休む為にホテルに入って来た……という可能性は考えたものの、だとしたら今の破壊音の説明がつかない。


この階……俺の部屋から離れた所から聞こえた。


「あぁん、もう!昴くん!」


「シッ!今の音は……敵か?」


だとしても、そんな音を立ててしまえば気付かれるだろうに。


机の上のPBTを見て、ローブのポケットに入れた俺は、日本刀を抜いて入り口へと歩いた。


総力戦はどうやら終わっているようだ。


敵だとしたら……宿泊者を襲う為か?


「美姫、ここにいろ。俺が見てくる」


「え、う、うん……」


カードキーを持ち、ドアを開けて。


廊下に出た俺は、音が聞こえた方を見た。


もう既に部屋の中に入っているのか、人影はない。


今の音で廊下に出てこないって事は……悟さんも愛美も眠っているんだろうな。


そう考えて、足音を立てないようにゆっくりと廊下を歩いた。