東京ヴァルハラ異聞録

「ええ、そうですね。僕も何度か北軍に行きましたが、かなり荒れているのを感じます。東軍、それもたった一人に掻き回されているみたいですよ」


俺達がいなかった10日間で、この街も随分変わったな。


荒れている……と言っても、沙羅は死神と呼ばれているくらいだ。


そう簡単にやられはしないだろう。


「なんにせよ、気を付けて行けよ。以前のようにワシらを待ち構えているという事はないじゃろうが、それはつまり、どこに秋本みたいな猛者がおるかわからんという事じゃからな」


「はい。危険を感じたら逃げるようにします」


まあ、こっちには悟さんと愛美がいるから、本当に秋本クラスのやつが現れない限り大丈夫だと思うけど。


「おっと、忘れる所でした。死神……黒崎沙羅は神凪派でしたよね?神凪派は隅田川の東側、東駒形辺りにいるはずです。詳しい場所はわかりませんが、行ってみる価値はあるのではないでしょうか」


さすがは密偵……。


敵軍の派閥の事まで把握しているとは、結構優秀なんだな。


「へぇ、千桜さんはなんでも知ってるんですね」


「籾井さんが情弱なだけですよ」


……籾井さんはそうでもないようだけど。