東京ヴァルハラ異聞録

「結城昴、お前はこれからどうするつもりだ?バベルの塔に向かうなら、四人では心許ないだろう」


久慈さんにそう言われ、俺は悟さん達を見た。


頼めば悟さんと美姫は付いてきてくれるかもしれない。


だけど愛美は成り行きで俺と一緒にいるだけで、千桜さん達のようにここで離脱する可能性はあったから。


「今から、北軍に向かいます。沙羅に……もう一度会って、一緒にバベルの塔に向かいたいと思います」


「え?何?四人って私も入ってるわけ?」


案の定、愛美が鼻で笑って俺に尋ねた。


「愛美、俺からも頼む。今、北軍は東軍からも攻撃を受けていて荒れていると聞く。結城の力になってやってくれないか?」


……久慈が、愛美に頭を下げて頼んでくれた。


さっきまで俺と戦っていたとは思えないけど、この人は初めて会った時から丁寧な人だった。


憎しみで、そんな事も忘れていたんだな、俺は。


「ちょ……久慈さんに頼まれたら断れないじゃん。あーあ、なんでこんなやつとわざわざ荒れてる所に行かなきゃならないんだか」


それにしても、東軍が北軍に?


光の壁は反時計回りにしか越えられないはずだろ?


それ以外の手があるとすれば……両国で、光の壁が途切れている場所から侵入するしかない。


あんなポーンが多い場所で、そんな芸当が出来るのは……あの三人くらいしか思い付かなかった。