東京ヴァルハラ異聞録

「……久慈。入って来い。話がある」


篠田がそう言うと、久慈は扉を開けて中に入って来た。


「終わりましたか。篠田さんもそろそろ休んでください。少しでも傷を治さないと、本当に死にますよ?」


PBTが破壊された事を告げられ、久慈は動揺していた。


篠田の不安と同じものを、久慈もまた感じていたから。






「久慈……俺を殺せ」





心配する久慈に、篠田はそう言い放った。


秋本との戦いで負ったダメージが大きく、武器を持っているからまだ生きていられるだけなのだと感じていたから出た言葉なのだが、久慈は当然首を横に振った。


「な、何言ってるんですかタケさん。弱気になるなんて、らしくないですよ?ほら、俺が肩を貸しますから……」


ステージに上がり、差し出した久慈の手を篠田は押し退けて。


代わりにその胸ぐらを掴んで久慈を引き寄せた。


「もう……俺じゃダメなんだよ!わかるだろ。PBTを失ったやつが頭張ってるなんてよ!もう敵はそこまで来てるかもしれねぇんだ!秋本みたいなやつが来たら、俺は真由を守れねぇ!西軍を守れねぇんだよ!」


「だ、だからって……何も死ななくてもいいじゃないですか!」