東京ヴァルハラ異聞録

~篠田の死の直前~


「嘘だ!どうしてお姉ちゃんが!!タケさんは守ってくれなかったの!?」


「俺のせいだ……本当にすまない」


泣きじゃくる真由を、篠田は慰める術を持っていなかった。


実の姉の死を聞き、どれほど絶望したか、篠田は痛いほど理解していたから。


守ると言って守れなかった。


隠し通す事も出来たが、自身のPBTが破壊され、いずれ真由の前から姿を消さなければならないと感じていたから。


「嫌い!こんな街も、守ってくれなかったタケさんも、皆みんな……大っ嫌い!!」


それが、真由の最後の言葉だった。


目の前で黄金に変化する姿を見ながら、篠田は腰を下ろして頭を抱えた。


これからどうすればいい……こんな半死半生の自分が、西軍のトップとしていつまで皆を引っ張って行けるのかと。


秋本の手によってPBTが破壊された。


この情報は瞬く間に広まってしまう。


そうなれば、南軍や篠田を殺して名を上げようという人間が西軍に押し寄せるかもしれない。


その考えは、今に始まった事ではなかった。


自分を慕って集まってくれている人達に感謝はしていたが、それ以上に自分がいなくなった時に、それぞれの意思で動く事が出来るのかという心配は、ずっと持っていた。


それが、間もなく試されようとしているというのが、篠田にはわかっていたのだ。