東京ヴァルハラ異聞録

久慈と睨み合い、お互いに攻撃に移る隙を窺う。


この間に、日本刀の溜めは完了したようだ。


意識を集中して久慈を凝視する。


長く……何時間も経ったかのような錯覚に陥るほどの睨み合い。


次の攻撃で勝負が決まる。


久慈がどう思っているかはわからないけど、俺はそう感じて。


ピクリと久慈の足が動いた。


と、認識したと同時に、俺に向かって飛び上がっていた。


まだ、大剣を手に取っていない。


ここしかないっ!!


鞘に納めた日本刀を、空中の久慈に向かって一気に引き抜く。


その状態では、俺の動きすら捉えられないだろうに!


僅かに生まれる無防備な時間が、その攻撃の弱点だ!


鞘から日本刀を抜いた時、俺は気付いてしまった。


この刃の先に……真由さんと篠田さんがいる!


振り抜けば久慈に勝てるかもしれない。


だけど、二人まで巻き込んでしまう!


その想いから、強引に斬撃を止めるが……久慈は止まらない。


大剣を取り出し、俺に向かってそれを振り下ろしながら落下を始めたのだ。




殺られるっ!





そう思ったが……その攻撃もまた、俺の頭部の直前で動きを止めた。


勝ちを確信しての寸止めではない。


お互いに、「これ以上振れない」というような雰囲気だった。