東京ヴァルハラ異聞録

「もらったっ!!」


慌てる久慈の真正面。


一つ目の分身に重なり、俺は日本刀を久慈の胴に滑らせた。


「なにっ!?」


だが、そこはさすがと言うべきか。


ショートソードで日本刀を受け止める。


軌道を逸らされるが、それでも強引に押し込んで。


パキンという音と共にショートソードが折れ、久慈は床に倒れ込んだのだ。


刃から血が滴る。


ショートソードでは受け止め切れずに、久慈の右腕に傷を負わせたようだ。


「か、考えたもんだな……分身の中に実体を重ねるとは。だが、倒れた俺に追い打ちをかけないその甘さが命取りだぞ!」


すぐに立ち上がった久慈は、大剣取り出して。


床に突き刺すと、それの前に立った。


あれが……来るな。


日本刀を鞘に納めて、腰を落とす。


勝負は一瞬。


帽子のつばを後ろに回し、視界をクリアにして、その時を待った。


「あの馬鹿者!その技は使うなと……」


上から御田さんの声が聞こえた。


使うなと言われたけど……久慈の攻撃に対抗出来る技はこれしか思い付かない。


武器から離れた一瞬の隙を突けるほどの速度で斬り込める技なんて、俺にはこれ以外になかったから。