東京ヴァルハラ異聞録

「俺にだって、武器を使って飛び回るなんて出来ないですよ」


そう……久慈の強さは、あの大剣にある。


床に突き刺して、自分の身体を動かして防御と攻撃を同時に行うスタイルと、大剣を蹴って移動し、さらに大剣を取り出して攻撃に転じるスタイル。


静と動……自分の戦闘スタイルを確立しているからこそ、ここまで強くなれるんだろうな。


篠田さんだって、街にあるものを使って戦っていた。


あれは篠田さんくらいしか出来ない芸当だろう。


「お前はせいぜい人真似でもして得意になっていろ。何なら俺の真似でもしてみるか?」


そんな明らかな挑発に乗るほど、俺は自分の力を過信しちゃいない。


久慈の技を真似出来るならしたいとも思うけど……俺には参考にならないものばかりだ。


日本刀を床に突き刺した所で、大剣と比べて短くて防御にも攻撃にも活かせなくて意味がない。


となれば、日本刀を蹴って敵に接近するなんて出来るはずもなくて、何なら日本刀を持っていた方が良い。


……待てよ?


武器を蹴って離れている間、身体能力は普通の人間に戻っているはずだよな?


つまり……久慈は武器を蹴って移動している間は、俺の動きに付いて来ていない……というわけか?