東京ヴァルハラ異聞録

「俺達は上で見させてもらいますよ。邪魔はしないんで。構いませんよね?久慈さん」


中に入って来た悟さんが、左側にあるバーカウンターの上を指差して尋ねる。


「は!?何のためにここに来たんだよ!結城一人なんて久慈さんに殺され……」


愛美がそこまで言った所で御田さんがその口を塞ぎ、強引に引きずって移動を始めた。


「……俺は構わないぞ。何人で来ようと結果は変わらないからな」


その様子を見た久慈が、フフッと笑って見せる。


「なぁに、そんな野暮な事はせんわい。じゃがな、坊主は強くなった。想いを託した人間達の力を感じる。お前も本気でやらんと、足元をすくわれるかもしれんぞ?」


「わかってますよ英太さん。俺はタケさんから奪った……託されたわけじゃないですから」


御田さんと久慈の会話は……以前のような優しさと言うか、仲間同士のような感じがする。


「……俺が勝ったら話してもらいますよ。あの日あの時、ここで何があって篠田さんを殺さなければならなかったか」


腰を落とし、久慈の動きに意識を集中させる。


「お前が見た事が全てだ。それ以上でも以下でもない!」


大剣を床に突き刺した久慈は、かかって来いと言わんばかりに俺を指差した。