東京ヴァルハラ異聞録

エレベーターを降り、廊下を歩く。


そして、大きなドアを開けると、ステージにもたれるように床に座っている久慈がこちらを見ていたのだ。


「やっぱり来たか……結城昴。あの日俺は、お前を殺しておくべきだったと後悔しているよ」


ゆっくりと立ち上がりながら、巨大な剣を取り出して俺に向けた。


会って早々に戦闘態勢とは、話をするつもりなんてないって感じだな。


「俺も、あの日何がなんでも話を聞くべきだったと後悔しています。何があったか、教えてくれませんか」


チラリとステージを見ると、あの日見たままの姿で動かない真由さんと、その横に寄り添うように横になる篠田さんの遺体があった。


……真由さんは15時から少しの間動くはずじゃないのか?


それが、あの時から微動だにしていない?


「これが気になるか?楠本真由は、姉を失った悲しみからか、あの日から元に戻る事はなくなった。この世界に絶望したのかはわからないが、タケさんまで死んだ事を知られなくて俺は良かったと思ってるよ」


「自分で殺しておいて……よくもそんな勝手な事を言えたもんだな!」


日本刀を取り出し、鞘に納めて構えると、背後から御田さんに肩を叩かれた。


「おい、坊主。それは乱発するな。どう見ても今のお前以上の力を引き出しているからな。使い過ぎるといつかしわ寄せが来るぞ」


そう言われて……俺は鞘から日本刀を抜いて構えた。