東京ヴァルハラ異聞録

そう聞くと、篠田さんが西軍にとっていかに重要な存在だという事がわかる。


誰もが一目置く御田さんに、ここまで言わせるほどなのだから。


「昴くん、大丈夫?腕を斬られるなんて痛そう……」


駆け寄って、元に戻った腕をマジマジと見ながら美姫が顔をしかめる。


「いやあ、俺が英太さんと戦う事にならなくて良かったですよ。あんなの絶対に殺されてますからね」


「籾井さんが人に試される事なんてないでしょ。そもそもそれほど重要な人でもないですしね」


「あ!酷い言い方だ!俺だってねぇ、必死に西軍の為に頑張ってるんですよ!?」


どんな状況でも、千桜さんと籾井さんのこのやり取りは変わらない。


それが、俺を少し安心させてくれる。


「あんたらお気楽だね。今から誰に会うか忘れたわけじゃないだろうね」


そんな二人に対して、愛美が呆れ気味に尋ねる。


「そうじゃな。今から会うのは篠田武久を殺した男、久慈明友。現西軍最強の男じゃからな。坊主、気合いを入れていけよ!」


そう言った御田さんが、俺の背中をバシッと叩く。


話を聞きに来た……とは言え、戦闘は避けられないか。


覚悟を決めた俺は、御田さんにエレベーターに案内されて7階へと向かった。