東京ヴァルハラ異聞録

「結城昴……礼なんて言わないからね!!」


そう言うと、身体を捻って俺の腕から脱出すると、着地体勢に入った。


俺はと言うと……川本の足が当たり、バランスを崩して木に直撃。


枝を折りつつ、パチンコ玉のように弾かれて地面に落下したのだ。


「いた……くはないけど、なんか悲しいな」


「バーカ、格好付けるからだ。だけどまあ……うん」


何を言いたいのかはわからないけど、地面に落ちた帽子を被り直して武器を抜いた。


同じように着地した三宅が、怒りを露にして群衆を蹴散らし、俺達に歩み寄る。


「テメェら……調子に乗って暴れてくれたじゃねぇか。こんなに怒ったのは、篠田にぶちのめされて以来初めてだぜ」


穏やかな口調……に思えるけど、その言葉には抑えきれないほどの怒りが込められているのがわかる。


「いくら三宅が強いとは言え、こちらは三人。三人がかりでやれば、勝てない相手など存在しません」


マスターが自信満々に言うけれど、篠田さんと戦った時は三対一でボロ負けしたんだよな。


三人がかりか。


確実に三宅を倒すには、そうすべきだと思うけど。


「すみません。マスターは屋上に行ってくれませんか?まだ南軍の人が残っているでしょう?それに、美姫が心配なので見てきてほしいんです」