東京ヴァルハラ異聞録

今、川本を殺しても南軍に戻るだけなのに、三宅はそこまでして残酷なショーを実行したいのか?


「昴くん、何と言ってお礼をすれば良いか……本当にありがとうございます!」


群衆の攻撃がPBTに向いた。


その一瞬の隙を突いてここまで移動したのだろう。


マスターが俺に駆け寄り、涙を流して頭を下げた。


「まだ終わってませんよマスター。川本達と一緒に、南軍に帰るんでしょ?」


「は、はは……そうですね」


ようやくいつもの笑顔が戻ったマスター。


矢の雨から生還した俺を敬遠してか、ゼロ・クルセイダーズは俺とマスターから距離を置いて、綺麗に円形の空間が出来上がっていた。


「テメェら、待たせたな!!こいつをここに吊るしたままにする事は出来なくなったが……殺人ショーの始まりだぜ!!」


頭上から聞こえた三宅の声に、一度は沈みかけた群衆が再び熱狂の声を上げる。


「川本はどうして戦わないんだ……PBTは取り戻したんだから、抵抗すればいいのに」


素朴な疑問……というやつだった。


「ダメです昴くん。武器を取り出すには、PBTを持っていなければならないんです。つまり、武器を出せない今の川本さんは普通の女の子と変わりません!」