東京ヴァルハラ異聞録






パンッ!





と、弾かれるような音がPBT越しに聞こえた。


三宅の手が弾かれ、川本のPBTが宙を舞ってビルの屋上から落下を始めたのだ。


『くっ!?何なんだよ!!おい!誰もいねぇんじゃなかったのかよ!』


『だ、誰もいません!何がどうなっているのか……』


これは……美姫だ!


「マスター!PBTの確保を!」


歩道橋の柵に足を掛けると同時にそう叫び、俺は大観衆が待ち受ける道路へと飛び出した。


「本当に……ありがたいです!」


マスターもすぐに飛び上がり、PBTを取り出して瞬間回復をしながら群衆の上を移動する。


普通の道路なら、俺の速度なら間に合うだろうけど、落下地点まで人で埋め尽くされている。


間に合うかどうかがわからない!


「あの二人を止めて!!それかPBTを破壊するんだよ!!どっちでも良いから!!」


歩道橋の上から美佳さんの声が飛ぶ。


それに触発されたか、三宅のくだらない演説で気分が高揚した群衆は武器を掲げて、俺達の足止めをしようとしたのだ。


ただでさえ足場にしにくい、人の上なのに……その上この場所は、正面のビルを避けるようにして道の両側が広くなっている。


50mほどの距離なのに……遠い!