東京ヴァルハラ異聞録

左手で鞘を強く握り締め、襲い掛かる直樹さんに日本刀を抜く。


柄を握った瞬間、力が溢れるのがわかる。


自分でも信じられないくらいの速さで日本刀が鞘から引き抜かれた。


そして、直樹さんの右の脇腹から左の肩に掛けて光が走った。


と、同時に、道沿いに並ぶビルにも亀裂が走ったのだ。


「あ、あ……そんな。俺は強くなったはずなのに……」


「二度と俺の前に現れるなよ。人の力に寄り掛かって、自分まで強くなった気でいるんじゃない」


崩れ落ちる直樹さん身体。


それが光に変わり、弾け飛んだ。


「す、昴くん……なんて攻撃力……い、いや、今はそれよりも早く」


マスターが川本に駆け寄り、頭の袋を取った時だった。


ハラリと落ちる長い髪。


川本は……こんなに髪が長くない!


俺と同じくらいにマスターも気付いたのだろう。


だが、それよりも早く女は振り返り、近距離でマスターに矢を放ったのだ。


「ぬぐぅっ!?」


それでも、心臓への直撃を回避したのはさすがと言うべきか。


「あらあら、残念ね二人とも。私が川本だと思った?PBTで確認されないように取った作戦に、まんまと引っ掛かってくれたわね」


そう言い、笑みを浮かべたのは美佳さんだった。