東京ヴァルハラ異聞録

そして、三宅がビルの端に立った。


人が吊るされている場所の上に。


PBTを取り出して、大観衆の前で口を開いたのだ。


「さあ、テメェら!楽しいショーの始まりだ!西軍の連中に虐げられてきた俺達が、南軍を相手にしても十分戦えた!それどころか、南軍の星5レアを捕虜にする事も出来たんだぜ!」


三宅の声が、集まった人達のPBTから聞こえているようで、ますます盛り上がり歓声が聞こえる。


マスターにしてみれば、つらいだろうけども。


「俺達は強い!仲間も大勢出来た!新しい西軍は俺達、ゼロ・クルセイダーズが作る!次は月影の所を潰す。橋本の所も潰す!そして最後は久慈だ!篠田の亡霊に取り憑かれたやつらを一掃して、俺達が西軍の頂点に立つぞ!」


さらに歓声が上がり、それに応えるように三宅が観衆に手を挙げた。


……愚にもつかないとはこの事か。


それでも、三宅という強者がこれだけの指導力を見せているのならば、ゼロ・クルセイダーズからすれば頼もしいと思うんだろうな。


こんな殺し合いの世界で、誰かにすがりたいと思う気持ちはわかるから。


誰が正しいかではなく、誰に惹かれるか。


それを完全に否定する事は出来ないのかもしれないと、この時俺は思ってしまった。