東京ヴァルハラ異聞録

まだ人が集まっていない間に、人が吊るされている場所までやって来た。


恐らく、南軍が侵攻して最初に見るであろう、正面のビルに吊るされるのではないかと予想し、その隣のビルの屋上に身を潜める。


ここなら、川本が連れて来られてもすぐに動けるし、背後を突けるから。


そして、その時は近付いているようだというのが、人が集まり始めてわかった。


「昴くん達のPBTから声は聞こえませんでした。これはグループ通話で呼び掛けたのでしょうかね」


「へぇ、そんなのあるんだ?美姫はそういうの全然わからないよ」


俺もPBTで通話なんてしないからな。


登録している人が少ないし、こんな状況だから千桜さんからも連絡は来ないし。


「それにしても妙ですね。こんなに人が集まっているのに、三宅はまだ出て来ない。そろそろ出て来てもいいと思うのですが」


もう、道路を埋め尽くすほど人がいて、三宅の登場を今か今かと待っている……ように見える。


「本当に、ここで合ってるんですかね?もしも別の場所に現れたら……」


「その為にここにいるんですよ。ここなら、移動は比較的容易です。どのビルに現れても……対処出来ますから」