東京ヴァルハラ異聞録

居合って……あれだろ?


鞘に納めた状態から、日本刀を抜いて斬るってやつ。


でも、その言葉の意味はわかるような気がする。


武器を進化させたからそうなったのか、左手に感じる力が今までの比じゃない。


「実際には座っている状態から抜刀するのが『居合』なので、立っている状態は『立居』なのですが。どうやら、昴くんの武器も彼女と同じく居合が可能なようですね。これは恐ろしい」


これから川本を助ける。


という目的があるものの、どうしてマスターは俺が強くなるような情報を教えてくれたんだ?


これが終われば、また敵同士に戻って戦うかもしれないと言うのに。


なんて考えたけど……そんなもんじゃないよな、人と人の繋がりって。


沙羅と出会って、お互いの不利益なんて無視して、その為に自分に被害が及んでも一緒にい続けた。


敵だとか味方だとか関係ないんだ。


「一刀流が必ず二刀流に負けるわけではない……という事ですよ。武器に慣れ、自分の物とするのです」


「ありがとうございます。じゃあ、そろそろ行きましょうか。美姫も腹ごしらえは出来たみたいですし」


マスターにお礼を言い、横を見ると、あれだけあった食料を平らげて満足そうに美姫は微笑んでいた。