東京ヴァルハラ異聞録

「なるほど、理解はしましたが。昴くん、あなたはその武器を活かしきれていない可能性がありますね」


その言葉に眉をひそめ、俺は日本刀を見た。


こいつを活かしきれていない?


そりゃあ、剣術なんてやった事もないし、全てが我流だけど。


でも、そんなのこの街にいる人の殆どがそうじゃないの?


と、思いながらマスターを目を向けると。


「先日、昴くんと同じような日本刀を操る女性と戦いました。スタイルは人それぞれあると思うのですが、普通に戦っていた彼女は、私に勝てないと判断すると、日本刀を鞘に納めたのです」


負けを認めたってわけかな?


マスターは無益な殺生は好まないって言っていたから、その状態で攻撃するとは思えないけど。


「……それでも、彼女の目は勝利を確信していました。なので私は油断をしないようにしていたんですがね。次の瞬間、私は右腕を失って撤退しました。彼女が何をしたか、わかりますか?」


「え、いや……日本刀を鞘に納めたんですよね?そこから何かをするって言ったら……」


話の通り、日本刀を鞘に納めて柄から手を放す。


「そう……居合ですよ。元の世界の居合とは意味合いがかなり異なるでしょうが、それは昴くんが一番わかるのではありませんか?」