東京ヴァルハラ異聞録

「失礼ですが、本当に美姫さんが三宅達と戦えるほど強いのでしょうか?あ、もちろん見掛けで判断をするつもりはないのですが」


手を顔の前で横に振り、美姫を不愉快にさせまいと自分でフォローを入れる。


「じゃあ、マスターは唐揚げを持ってください。美姫がそれを取りますから」


相手の力を見定めたいというのはよく分かる。


だけど、美姫の力を人に話すのはどうかと思うし、あまり知られたくない。


だからこの程度なら問題ないだろうと提案すると、美姫はニコニコして立ち上がった。


「わかった。この人の唐揚げを取れば良いんだね?そんなの簡単じゃん」


「はははっ。私は相手が誰であろうと油断はしませんよ。こうやって、美姫さんの動きをじっくり観察……」


美姫が動けば後方に飛び退く。


片膝を立てて、そんな気配すら見せたマスターだったけど……目の前から美姫が消え、何が起こったのかと唖然とした瞬間、手から唐揚げが離れてしまったのだ。


「はい、私の勝ち。これはどうぞ」


唐揚げを摘んだ美姫がニッコリと微笑み、マスターの口の中にそれを放り込んだ。


それを噛んで飲み込み、美姫に拍手をする。


「す、凄い凄い!私でも完全に消えたのかと思いましたよ!いやあ、上には上がいるもんですね!」