東京ヴァルハラ異聞録

「でも、感謝してるのは本当だよ。昴くんが戦ったから救われた人達もいるんだよ」


「死んだ人達もいるけどね」


「違う、そうじゃないよ!それは数じゃないんだよ。どんな思いで昴くんが武器を振ったか。思いがなければ、人を助けたとしてもそれは殺戮のついでに過ぎないんだよ」


どんな思いで武器を振ったか……か。


確かに、強くなりたいと躍起になっていた時は、誰かを思って……なんてなかった気がする。


つまりそれは殺戮で、人から恨みを買われても仕方のない状態だったわけだ。


梨奈さんを失った時は、最期に「ごめんね」と言われた。


俺が謝らなければならなかったのに。


篠田さんの時も、殺されるのがわかっていたからか、俺にこの帽子を託した。


でも、既にあの時に死ぬとわかっていたなら、どうして逃げなかったんだ。


考えてもその答えは出ない。


「昴くんは今、何がしたいの?一番強い想いは何?」


そう尋ねられて、俺は少し変化した想いを口に出した。


「川本を助けたい。そしてバベルの塔に向かうんだ。沙羅と一緒に。この街に関わって死んで行った人達全員生き返らせて、皆で元の世界に戻る」