東京ヴァルハラ異聞録

予想外の攻撃だったのか、鞘の直撃を受けて美佳さんの方に吹っ飛ぶ三宅。


地面を転がり、顔を押さえて俺を睨み付けた。


「こ、この……クソガキがっ!!武器は落としたはずだろうが!!」


俺だってこの鞘がどういう扱いかはわからない。


一対の武器の扱いが普通の武器と違うように、日本刀と鞘もまた普通とは違うのだろう。


鞘に人を殺す程の力はないけど……これもまた武器という事なのか。


「れ、零!あんな子供に負けないでよ!西軍最強の男になるんでしょ!」


「うるせぇ!負けるわけねぇだろ!お前は黙ってろ!」


駆け寄った美佳さんを振り払い、立ち上がる三宅。


だけど、このまま戦っても俺が負けるのは目に見えてる。


ここは……退くしかない。


そう判断した俺は、鞘を握り締めて集まった野次馬の方へと駆け出した。


飛び上がって、野次馬の頭を踏んで逃げる。


「くそっ!追え!逃がすんじゃねぇ!!」


三宅の言葉で、野次馬が武器を構えて俺を迎え撃つ。


「死んでたまるか!!」


左手の鞘一本で、迫り来る武器を弾き、道を走って南下した。


戦おうとはしなかった。


逃げる事に集中して。


途中、南軍に遭遇して戦闘になったが、5人ほど斬り捨てて。


しばらく走って追っ手を巻き、とあるビルに入った俺は、物陰に隠れて溜め息をついた。